バレエ界の女王シルヴィ・ギエムが来日する。
世界を魅了するギエムのボレロが観れなくなるのはとても悲しい。
彼女についてわかることは・・
Sylvie Guillem1965年パリ生まれ。 (って40歳?!)
12歳のときに新体操から(すでにオリンピック予選を通過)バレエに転身。
19歳の時、史上最年少でオペラ座最高位のエトワールに昇格。
5年後にその地位をなげうって英国ロイヤル・バレエへ
ゲスト・プリンシパルとして移籍。
その際、フランスの「国家的損失」とまで言われ、
センセーションを巻き起こす!
そして、現在100年にひとりのプリマ、世界のトップと賞されている。
このくらいだ。でも、すごそうでしょ。
振付師のベジャールが世界で10人足らずのダンサーにしか
踊ることを許していない『ボレロ』を踊っているのだから。
2003年11月。彼女の「ボレロ」を初めて観た。
すごかった。痺れた。感動した。素晴らしかった。
こんな感想しかでてこない自分にあきれる。
どう表現したら伝わるのだろう。難しいな。とにかくすごいのだ。
中央に真っ赤な円形ステージ。
その暗闇のステージにギエムがひとり浮かび上がる。
静かなメロディが徐々に重なり高まっていく。
そして最後にはフルオーケストラ!
それに合わせ、ギエムの踊りも挑発するように力強さを増し、
時には優しく、時には激しくダイナミックに、飛び跳ねる。圧倒的だ。
あんな華奢な身体からは考えられない。
ボレロの音響効果もあるのだろう。終わる頃には目頭が熱くなった。
そして、最後にはスタンディングオベーション。
あんな鳴り止まない拍手は経験したことがない。
観客全員が絶賛、賞賛している。
そして、カーテンコール。さっきまでの力強いギエムはどこへ?
しなやかで可愛らしい女性が何度も微笑み、頭を下げていた。
バレエ公演では花束やプレゼント、手紙などを持ってくる人が多い。
しかも、カーテンコールで前に降りてくれば、直接受け取ってくれる。
特にギエムは最後まで微笑みを絶やさず嬉しそうに応えてくれる。
ギエムの踊りはどこをとっても完璧で、知的でクールだ。
カリスマと言われるのがうなずける。
でも、一度舞台を離れると、本当に穏やかで魅力的な優しい笑顔を
投げかけてくれる。そこがまたファンを魅了しているのだと思う。
全然伝わらないな。とにかく観に行ってもらうしかない。
プロポーション、技術、演技力、表現力、洞察力、スピード、キレ、
何をとっても完璧。そして知性が溢れている。
バレエにそれ程詳しくない初心者の私にだってわかる。
中性的で凛としたギエムは舞台の上で踊っている時それほど綺麗でない。
でも美しい。何がそうさせるのだろう。
実際に彼女の踊りを観ないとわからない。(何度も言うようだけど)
ギエムの公演は何回か観ている。どれもオペラハウスで観たのだけれど、
ギエムが出てきただけで拍手。さすが本場だ。
バレエは高い。観るなら良い席で観たい。
となると、普通に1万5千円とかする。
地方公演でも来てくれないときには東京まで出て行かなければならない。
お金と時間がかかる。
それでも観に行きたいと思わせる。でも、それで、
ちょっとだけ幸せを味わえたら、ちょっとだけ人生が豊かになるのなら、
そのくらいの投資はしてもいいんじゃないか。
その気持ちを大切にしたい。その瞬間を大切にしたい。
自己満足でいいじゃないか。
ところで、これだけ絶賛しておいてナンだけど、
(知ってる人は引くくらいだ・・)
ギエムはもう特別なので、一番とかそういったことは考えたことがない。
ギエムのクラシック作品も好きだけど(コンテンポラリーのほうが好き)
クラシックなら同じロイヤルバレエのダーシー・バッセルや、
ボリショイやアメリカンバレエシアター所属の
ニーナ・アナニアシヴィリが好き。
ニーナのドン・キホーテは最高だ☆☆